小さくなっていく日本酒

小さくなった日本酒

近所の酒販店の棚をのぞくと、このところ日本酒が幅をきかせてきたなと、感慨ひとしお。一時は焼酎に席巻され小さくなっていたのに。
でも待てよ、日本酒、小さくなったと思いませんか???

一升瓶が消えていく・・・

おすすめの日本酒酒販店の真ん中にある冷蔵庫を見れば、日本酒の4合瓶がひしめいています。棚に無造作に一升瓶が置かれていたこれまでと比較すると、なんだか不思議な気がします。しかしこれは、「酔うための酒」から「味わうための酒」に、日本酒が変貌を遂げたことから生じた変化なのです。
日本酒には、本当は温度管理が必要です。特に生酒など、火入れしていない酒は牛乳などと一緒。常温で放っておくと、全く違うものに変化してしまいます。中には放置して熟成を楽しむなんて飲み方もありはしますが、それにしても温度変化の激しい場所に放置していたのでは、うまく熟成はしてくれないのです。
日本酒の冷蔵管理は常識。冷蔵したものを、できるだけ早く空けてしまうのが美味しい飲み方だと言えます。現在では、そのようなことをメーカー側がアピールできるまでに、日本酒は復権を果たしています。氷河期と呼ばれた時代でも、実直に研鑽を重ねてきた全国の酒蔵の努力が実ったのです。
今、蔵元は攻勢に出ようとしています。全国に知れ渡る名蔵「新政」などはすでに、一升瓶での出荷を取りやめたというのです。これには、消費者サイドに立った3つの利点があります。つまり、

1)一般家庭の冷蔵庫でも保管しやすいこと。
2)美味なうちに早く消費できること。
3)小さなサイズゆえにより多くの消費者に行きわたること。

さらに世界を見渡した場合、現在のメインプレーヤーであるワインへの接近という意味合いもあります。

ワインのように嗜む時代の向こう

日本酒の外飲みの場合、特殊な契約により、掲げられた単一銘柄の酒しか飲めないといったことがよくありました。しかし、現在では日本酒銘柄を数多くそろえることを売りにしている居酒屋も多く、それを楽しみにしている客も多くなりました。日本酒は、非常に味わい幅が広い酒なので、それぞれの違いを比較しながら楽しめるのです。それは、ワインの世界に似ています。
コストや保管の都合もあり、居酒屋の品ぞろえは今も一升瓶が中心ではあります。しかし、人気の新政が4合瓶しか出さないことや、スパークリング日本酒が人気となってきていることから、居酒屋においても日本酒の小型化は進んでいます。デザイン性に優れる4合瓶を並べ、店の高級感を演出している居酒屋なども現れてきました。
ワインのフルボトルは750㎖。アルコール度は、高くて14度くらい。日本酒は4合瓶で720㎖、平均的なアルコール度は16度。ボトル中のアルコール分は、若干日本酒の方が高いくらいで、それぞれ飲みきりサイズと言えるでしょう。だから、ワインのように4合瓶をキープしてしまう人もいます。そうやって、美味しい酒を美味しい状態に自ら管理してしまおうとするお客さんたちが出てきたのです。
まあ、それはそれで日本酒に対する認識が変わってきた・・・日本酒もワインのように嗜む時代がやってきた、ということで、喜ばしいことです。でも今、日本酒はワインを超えていこうとしています。日本独自の新たな提供の仕方を、提供する側も模索しているのです。
この社会は、分かち合い精神の根付いた社会です。小瓶からでもさらに徳利に注ぎ分けて、お互いに猪口を傾けるという交流の酒文化も古くからあります。世界中の文化がつながった今、日本酒を用いて、良き風習を世界にもたらすことができるかもしれません。

古くて時代を先取りする酒

新政

日本酒ランキング昭和5年(1930年)に新政酒造から採取された酵母は、現存する最古のきょうかい酵母で協会6号と呼ばれ、現代まで日本酒に大きな影響を与えています。新政では、その6号酵母をネーミングに取り入れたNO.6などを、秋田県産米を生酛純米造りにより6号酵母によって醸すという原則に従って醸造しています。さらに一升瓶から脱し、純米大吟醸酒に分類されるような酒であっても純米酒として販売するなど、常に問題提起をしながら業界の先端を走り続けています。

▶ 新政酒造の日本酒


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