農業を変えていく日本酒

食べられない米から生まれる日本酒

日本酒はふつう酒米という、普段食しているコメとは違うコメを使います。別に食べられないわけではないのですが、なじみ深いコシヒカリなどに比べると食味は落ちます。この特別な米を使うことが、日本酒人気拡大の足かせにもなっていたのです。

米が足りない 悲鳴を上げる酒蔵

おすすめの日本酒酒米の王様は山田錦という品種です。鑑評会出品酒はほぼ全て山田錦が使用されるというほど、酒造りにおいて最も信頼されているのがこの酒米です。しかし、その栽培の難しさから農家が栽培に消極的だった上、主食用米の生産数量目標に組み込まれていたため、増産は困難でした。
そのような折、突然の日本酒人気。山田錦を使う獺祭などの吟醸酒が急速に需要を伸ばし、とうとう酒米が足りなくなってしまったのです。その結果、輸出拡大を目指していた業界にも衝撃が走り、見直しの機運が高まりました。そして、アベノミクスに乗りかかるかたちで、2014年度産米から生産数量目標を超えて生産することが認められたのです。

これからの酒と農業の関係

酒米確保の問題はある程度の解決を見ましたが、日本酒が海外に輸出されるようになって、今、日本酒はひとつの壁にぶちあたっています。これまでワインが主体だった醸造酒市場には、テロワールという概念があるのです。
つまり、原料の育った地域が酒を決めるという考え方です。すでにテロワールを取り入れて醸造を行っている仙禽などの酒造もありますが、酒米が酒質を左右するとの考えのもと、比較的限られている生産地域の酒米の確保を争ってきた日本酒業界では、なかなかに難しい問題ともなっています。「山田錦」の最適産地が兵庫県の特A地区にあると認識され、最高級酒にはそれを使用しなければならないと考えている限りは、日本酒業界の発展も頭打ちになるかもしれません。
現在では、新しい酒米開発に力を入れようとする動きもあります。これは都道府県が中心となって取り組む場合が多いのですが、中には、あの「十四代」で有名な山形の高木酒造のように、自社開発米で成功している酒造もあります。また、農家と契約農場で共同生産しながら日本酒を醸造する動きも拡大してきました。
今、日本酒は農業を変えていこうとしています。地域に沿った農業から酒を醸し出す時、はじめて日本酒は世界に認められる酒となるでしょう。そしてそうなった暁には、日本酒はよりバラエティーに富んだ酒として、人気を集めているはずです。

門外不出の酒米を使った日本酒

十四代 龍の落とし子

日本酒ランキング芳醇旨口の酒で、市場に革命を起こした「十四代」。その十四代を醸し出す高木酒造は酒米開発に力を注ぎ、「酒未来」「龍の落とし子」「羽州誉」を生み出した。中でも、「龍の落とし子」は門外不出とされ、十四代でなければその深みを味わうことができない。

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日本酒の日の闇

日本酒の日の由来

記念日好きの日本人。やっぱり「日本酒の日」だって存在します。
日本酒の日は、昭和53年(1978年)に日本酒造中央会が定めたものです。昨今、雨後のタケノコのように生まれる記念日ではありますが、比較的古くに定められた記念日だったんですね。
むかしは、暑さがおさまる10月から新酒を造り始める酒造が多かったようです。現在でこそ酒造年度の起点は7月1日となっていますが、昭和39酒造年度までは、10月1日だったとのこと。そのため、酒造りの元旦として祝う風習があったそうです。

日本酒の日は必要か?

おすすめの日本酒ところで、「日本酒の日」とは何でしょうか?一般的な記念日は啓蒙活動に力が注がれる傾向にあり、「日本酒の日」も例外ではないでしょう。でも、残念なことに「日本酒の日」が定められてより、日本酒はどんどん凋落していったのです。昭和50年頃、出荷量のピークを記録してより、その量は3分の1にまで減少しています。
もっとも、衰退する業界を苦慮して記念日が制定された面もあるでしょう。しかし、これまでのところそれは逆効果だったと言わざるを得ません。人気のピーク時につくられた記念日には、当事者本位の散漫な活動しか行われないことが多々あります。その結果、悪評をまき散らす元凶ともなり、予期した結果を得られないことがあるようです。

日本酒の日は必要か2

これまで、業界は暗黒の時代を耐えてきました。和食文化の広がりとともにクールな飲み物としてスポットライトを浴び、ほのかな明かりが見えてきた現在、まだ「日本酒の日」に拘るのかという思いがあります。
日本酒の日に行われるイベントは増えてはいますが、乾杯イベントや販売イベントが中心で、供給者サイドのお祭りです。そこには、参加者の心をつかむ「理由」がありません。理由がないままでは、当事者の労力が尽きた時に化石となるでしょう。

日本酒の再認知が進行する現在、もう、「日本酒の日」は必要ないのではないでしょうか。足並みのそろわぬ活動で特別な1日を曖昧なものにするより、「日本酒文化」を啓蒙する記念日を複数もうける方が日本酒の定着につながるような気がします。
「ひやおろしの日」というのがありますが、このような日本酒の中にある季節を上手く記念日として定めたならば、消費者の日本酒の楽しみ方も広がるような気がします。10月1日も、本来の「日本酒の元旦」に改めるべきです。

今年も、もうすぐ「日本酒の日」が来ます。私もイベントに出向き、乾杯の声をあげます。しかし、日本人なら日本酒で乾杯は当たり前です。それを記念日で拘束しようとするなら「特別」となり、日本酒離れは加速するでしょう。
日本酒を熱くしていくためには、「日本酒」を人々に認知してもらうのではなく、「日本酒文化」を認知してもらう必要があると思う今日この頃です。

骨のある日本酒

アマゾンプライム「石ちゃんのSAKE旅」。第7回に登場する菊姫の社長に惚れました。さすが、流行に左右されない本物の白山菊酒を醸し出す酒造。頑固さを貫く姿勢に、伝統の重要性を再認識。
その菊姫から、毎年10月1日に解禁される日本酒があるって知っていました?まるでボジョレーヌーボーみたいに。制約により、消費者サイドの購入意欲も高まるってもんです。

菊姫 鶴乃里 山廃純米

日本酒ランキングIWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)初代チャンピオンサケとして人気を誇るこの日本酒の新酒は、10月1日に解禁されます。上質な甘みを持った山廃ならではの骨太な日本酒。燗でもまた美味しい日本酒、さすがの菊姫です。

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お試しセットにモノ申す

居酒屋の人気メニュー 日本酒のお試しセット

このところ、日本酒のお試しセットをメニューに加える居酒屋が増えています。小ぶりのグラス3つに、違う銘柄の酒を注いで提供するというのがスタンダードとなっています。味くらべができることで、日本酒の奥深さを分かってもらうためのツールともなっていますが、どうもこの「お試し」という響きに安っぽさを感じて、私はなんだか注文をためらってしまいます。

日本酒のバラエティーセットでいいんじゃないか?

おすすめの日本酒お試しなどと言われると、中に含まれる銘柄から次の注文を確定しないと、何か店主の意に沿わないような気がして気を使ってしまいます。「お試し」の言葉には一種の呪文が含まれています。しかし、真の日本酒好きなら、もっと自由に楽しみたい。
いくつかの異なった日本酒を同時に提供してもらうことは、飲む側にとっては非常にありがたいことです。次々に目の前に並ぶ肴に合わせて、最適な日本酒をチョイスして最高の時間を過ごすことだってできます。でも、「お試し」などと言われると・・・

「お試しセット」として提供している店主さんにお願いしたい。どうか、「お試し」などと言わないで、「3酒セット」とか、そういう表現でメニューの中に加えて欲しい。。。

居酒屋の救世主にもなるバラエティーセット

日本酒は、焼酎などと比べて劣化も早く、居酒屋のメニューに取りそろえるのはなかなかに厄介な存在です。しかし、このところのブームを受けて、名のある日本酒を置いておかなければ客足ものびない。そういった悩みを抱えているオーナーも多いのではないでしょうか。
ならば、バラエティーセットを上手く活用すればいいのです。開封して時間が経過したりなどして早く消費してしまいたい酒を、セットの中に混ぜ込めばいいのです。それは、価格面、あるいは味覚面で人気のない日本酒ということになるかもしれませんが、店側にとっては提供価格の平衡化でもメリットはあるはずです。飲む側にとっては、他の酒との比較もできますから、新たな発見がそこにあるはずです。そうすることで、日本酒市場はもっともっと熱くなっていくと思うのです。
幸いにもわが国には、日本酒を楽しむための様々な酒器がそろっています。バラエティーセットを置くということは、そういう酒器を活かすことでもあり、店の品格アップにもつながるはずです。

▶ 日本酒を美味しくする酒器

様々な比較を楽しめる日本酒

日本酒は、米・水・麹を主原料とし、その組み合わせや製造方法の違いで大きな変化を楽しむことができることも特徴です。使用米やその精米歩合はラベルに記載されており、同一銘柄でもそこに大きな味覚の変化を生じさせることが分かります。同一銘柄で製造方法の異なった日本酒を頂くこともまた、日本酒好きにとっては最高の時間となります。

出羽桜の純米吟醸が面白い

日本酒ランキング山形県は、酒米の開発が盛んなところです。開発された新たな酒米で次々と名酒が生まれています。他の蔵に先駆けて吟醸酒を市販したことでも知られる名蔵「出羽桜」の純米吟醸3種を楽しむのも、秋の夜長にはいいかも。

▶ 出羽桜 出羽燦々 純米吟醸(楽天市場で購入する)山形県を代表する酒米「出羽燦々」を使った日本酒の頂点。2015年の全米日本酒歓評会でグランプリに輝く。青リンゴのよう。
▶ 出羽桜 つや姫 純米吟醸(楽天市場で購入する)山形県のブランド米「つや姫」。この食用米を使った日本酒は、インターナショナル・ワイン・チャレンジ2017金賞。洋梨のよう。
▶ 出羽桜 雄町 純米吟醸(楽天市場で購入する)山田錦と並ぶ高級酒米「雄町」。かつてインターナショナル・ワイン・チャレンジでトロフィーをも獲得した日本酒は、雄町サミット2017でも優等賞。上品で華やかな甘み。

美女子が日本酒にはまる理由

日本酒は女性のもの

杜氏の語源は、刀自(とじ・とうじ)にあります。刀自は、むかしむかし女性に対する尊称でありました。アニメ映画で話題になった口噛み酒のように、太古には女性が酒をつくっていました。醸造方法の変化により、男性の仕事に置き換わってきましたが、酒を醸し出すひとの呼称だけは変化せず、いまも「とうじ」と呼ばれます。

むかしの女性は美しかった?

おすすめの日本酒日本酒関係者の肌の美しさは、折り紙付き。有名人では、フリーアナウンサーの唐橋ユミさんの実家が酒蔵だということで、その肌に目を向ければ納得です。
日本人の女性の肌は世界一美しいとの評があります。むかしから、白い肌は美しいとされ、玉のようだとたとえられました。このような肌こそ、まさに日本酒が生み出すものなのです。
日本酒は、コウジ酸・アミノ酸・フェルラ酸などが豊富に含まれ、メラニンの生成を抑制し保湿効果を高めると言います。さらに、アンチエイジング効果があり、世界一美しいと言われる日本女性の肌を守ってきました。
しかしながら、日本酒離れが進んだ近年、日本人の中にガングロが現れたりと、変化が生じています。街を歩く女性の顔を見ても、すこし疲れが目立ってきているようにも思えます。
日本酒で築いた美肌の歴史は、日本酒から離れていくことで崩れていくと叫びたい!

日本酒の力

以前から、女性の間では日本酒風呂が活用されていました。浸透性に優れ、潤いと温もりが長時間持続すると巷では好評です。また、日本酒の美容効果に注目したメーカーは、日本酒を利用したスキンケア用品の開発にも力を入れています。
しかし、日本酒が真の力を発揮するのは、それを飲用する時。
日本酒には、100を超える有効成分が溶け込んでおり、飲用することで健康増進に役立つと言われています。一部では、高カロリーで太るとのイメージが定着してしまっているようですが、それは飲み方の問題。どんなものでも、過ぎたるは及ばざるがごとしといいます。

現在、日本酒には発がん抑制・高血圧防止・心臓疾患予防など、まさに百薬の長と呼べる効果が期待されています。そのことが口コミで広まるとともに、健康を意識する女性の間で、日本酒への注目が高まってきました。そこで日本酒は再発見されるのです。
今、美女子の間で、日本酒は美味しいと評判です。日本酒居酒屋へ行っても、女性の割合が高くなり、店主顔負けの日本酒談議に花を咲かせています。お猪口を手にする女性はその所作も穏やかで、美しく見えます。
我々男どもは、居酒屋の隅で見とれながら思うのであります。日本酒は、女性を磨くために生まれてきた酒かもしれない・・・と。

唐橋アナ実家のお酒

純米吟醸 からはし 山田錦

日本酒ランキングその名も「からはし」。有名人の実家だからピックアップされる酒なんだと、その実力を侮ってはいけません。唐橋アナの実家・ほまれ酒造は、大正7年に創業した老舗で、「会津ほまれ」の銘柄で全国に知られる酒蔵です。世界的な日本酒コンテストであるインターナショナル・ワイン・チャレンジでは、2015年にチャンピオン・サケを輩出し、世界一の称号を得ています。
この「からはし」も、インターナショナル・ワイン・チャレンジ2017純米吟醸酒の部で、最高賞であるトロフィーを獲得しています。真面目につくられた美味しい酒だからこそ、唐橋アナのような美人を醸し出すのです。

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ダサい酒が世界を変える

獺祭忌には、圧倒的人気の酒を飲む。

9月19日は獺祭忌。俳人・正岡子規の命日です。正岡子規は、酒が弱かったと言われていますが、嫌いではなかったようです。
その正岡子規ゆかりの日本酒が、現代では人気ナンバーワンの日本酒となっています。美味しい酒として、これまで日本酒に見向きもしなかった人をも取り込み、ファンに変えているのです。
その日本酒の名は「獺祭」。秋の夜長に、そばに置いておかなければならない日本酒です。

獺祭の名前の由来

しかし、なぜ「だっさい」などという名前をつけたのでしょうか。1990年にはじめて、現在の「純米大吟醸50」につながる清酒が販売されたのですが、「獺祭」の文字が読めず、注文するのもためらわれました。それを「だっさい」と読むと知った時には、仲間と「ダサい!?」と言って笑い合ったものです。
当時はまだ知る人ぞ知るといった感じでした。馴染みの店で「ダサい酒」と言って注文すると、面白がられて他にも注文が入ったみたいで、その店では「ダサい」で通っていました。しかし店主も、「獺祭」の由来は知りませんでした。

獺祭獺祭・・・これは、獺(カワウソ)の魚を並べる習性を指します。そこから、文章を書く時に参考書を出し広げることに転じ、かの正岡子規が自らを獺祭書屋主人と称したとのことです。
獺祭の蔵元は、正岡子規の生まれ故郷・愛媛県にある松山商科大学(現・松山大学)経営学部卒業。日本文学に革命を起こした正岡子規にあやかり、「獺祭」に変革と革新の決意を反映させたと言います。そして現実に、それまでの日本酒のイメージを次々とぶち壊しているのです。

時代に求められた酒

今日の獺祭ブームが来るまで、日本酒と言えばオヤジのドリンクであって、まさに「ダサい飲み物」の代名詞でした。かつて同じ位置づけにあった「芋焼酎」が、新しい麹などの開発で風味を変え大ブームを起こしたのを、指をくわえて見ていなければならないといった悲しい状況にありました。
獺祭の醸造元・旭酒造も経営危機に陥るほどの苦境に立っていたといいます。しかし、ピンチにこそ本当のチャンスが潜んでいるとはこのことでしょう。変革に失敗し、杜氏にそっぽを向かれたのを機に、社員制へ移行したのです。
現在でも、日本酒蔵の社員制というと「???」ですが、これが結果的に安定した品質を生み出すことになったといえます。古くからの知恵は、確かに無視できないものですが、反対に革新の足かせになっていたということでもあります。
この、社員制への移行による改革は、日本酒業界に大きな衝撃を与えました。これまで、日本酒と言えば季節を読みながら生産するのが当たり前で、従事者も季節工として雇われることが多かったのですが、社員制への移行により必然的に四季醸造を念頭に置くことになりました。
四季醸造とはつまり、寒い季節のみならず、暑い季節にも日本酒を醸造することを意味します。ということは、人の手で製造環境をコントロールしなければならないということです。
自然環境に仕上がりを任せていた時代には、出来上がる商品のばらつきが大きく、運が悪ければ商品にならないといった事態をも招きます。四季醸造では、人為的に最適な生産環境を整備するため、品質が安定してきます。
はっきりいいます。真の名酒は、品質こそが重要です。品質は、味わいとは別物です。ひとの嗜好に左右される味わいとは違い、品質には、製造する者の哲学が反映されます。だからこそ、そこに、いかなる試練にも立ち向かえる強い商品が生まれてくるのです。

獺祭の現在と未来

世間の嗜好の変化が、それまで主流だった端麗辛口から移行し、獺祭に衝撃を覚えたこと。それを需要面で長期的に支える実力を備えていたこと。これが、現在の獺祭ブームの実態だと言えます。
しかし、獺祭が凄いのは、同じ場所に留まっていないこと。製造面では遠心分離など、古来の醸造手法にはありえない技術の導入にも積極的で、新しい日本酒をつくりだすことをも厭いません。また、スウィーツとの組み合わせなど、従来にない日本酒需要の発掘にも積極的で、新たなファンを次々と獲得しています。
そのような中、設備導入で増産体制が整ったとも聞きます。われわれ庶民にとっては、その分価格面への反映を望むのではありますが、好調な海外需要もあって、やはり入手困難な日本酒として君臨し続けるのかもしれません。それでもやはり、特別な日には、裏切ることのないあの獺祭を探しに行きたくなるのです。

おすすめの獺祭

日本酒ランキング獺祭と言っても、いろんな種類があります。ただし、どれも純米大吟醸酒といって、通常の日本酒よりも精米歩合の高い贅沢なつくりとなっています。その結果、あのようにフルーティーで、えもいわれぬ味わいとなるのです。
ところで、この獺祭、はじめて飲むにはどれがいいのか?
そりゃ、いきなりオバマ大統領やプーチン大統領へもプレゼントされたといわれる 磨き その先へ を飲むというのもありですが、一般には「獺祭三割九分から」と言われています。これは、獺祭の中では精米歩合も中くらいの39%。獺祭は値段が高いというイメージがあるかもしれませんが、同スペックの他社商品よりコストパフォーマンスに優れるといった声もあります。味わい的にも、味と香りのバランスが非常に優れた驚きの酒です。

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今年のひやおろしはコレがいい!

ひと夏超えた美味しい日本酒 ひやおろしベスト

ひやおろしと書かれた日本酒が、酒屋の店頭にたくさん並ぶ季節になりました。通常は春先に火入れして夏を越し、もう一度火入れして出荷するものですが、出荷前の火入れを行わずに出すものを「ひやおろし」と言います。全国の日本酒ファンは、まろやかな旨みを持ったこの酒が出るのを楽しみにしおり、日本酒造青年協議会が中心になって、「ひやおろしの日」も制定されました。
重陽の節句9月9日「ひやおろしの日」は、一般にひやおろしの解禁日となっています。しかし強制力はなく、9月9日には既に、多くのひやおろしが市場に出回っています。中でも酒質の向上が著しいものを「秋上がり」と言って珍重したりします。
9月も中旬となった今、ひやおろしはほぼ出そろった感じ。その中で、目下人気のひやおろしを4本ピックアップ!

2017年 今年人気のひやおろし

黒龍 ひやおろし 吟醸原酒

ひやおろしランキング2017年毎年すごい人気の「黒龍 ひやおろし」。しかし今年はつくりが違うのです。例年の本醸造タイプからバージョンアップして、吟醸酒に。黒龍本来のフルーティーさとキレがさらに磨かれ、旨さが倍増しています。原酒ということで、アルコール度は高いものの、氷を浮かべたりしても楽しめるひやおろしです。評判も非常に高く、今年の一番はこれかな・・・と。

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雁木 ひやおろし 純米吟醸

ひやおろしランキング2017年獺祭と同じ山口県岩国市に蔵を置く八百新酒造の「雁木」。全国にファンを持つ銘柄のこのひやおろしは、味のバランスが際立っています。フルーティーな香りとともに、上品な甘みが押し寄せてきます。まるで、夏の努力が結実したかのような甘い余韻に酔いしれることができます。ただしかし、それも「雁木」。冬に向かう船をひととき留め置く、船着き場の日本酒なのです。

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雨後の月 純米吟醸 千本錦 ひやおろし

ひやおろしランキング2017年広島の酒米「千本錦」を用いて、素晴らしい日本酒を醸し出す「雨後の月」。フルーティーな香りの中に、米の旨みを存分に楽しむことのできるお酒です。あまりお目にかかれない「千本錦」の凄さに、唸り声をあげてしまいました。月が美しくなってきた秋の空を見上げ、ちびりちびりとこの酒を飲むことで、至上の幸福感を味わうことができます。寒くなる前に一度は飲むべし!

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AKABU 純米 ひやおろし

ひやおろしランキング2017年今年、早々と登場した赤武のひやおろし。新進気鋭の蔵元の酒は、もはや全国区の人気酒となっています。ほどよい熟成感を匂わせるえんじ色のラベルの日本酒は、さらさらと飲めるドライな口当たりが心地よいです。にぎやかに過ぎ去った夏を惜しむなら、この酒を飲んで兜の緒を締めましょう。肴には秋の実りを。夜遅くまで飲んでも疲れない、いいお酒です。

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世界の乾杯酒になれるか日本酒

スパークリング日本酒が大人気

宝酒造から「澪」が発売されてから6年がたちます。今では、居酒屋の必須アイテムともなり、この夏にはCMも新しくなって大きな話題となりました。甘酸っぱくフルーティーな飲み心地から、日本酒を敬遠していた人からの支持も得、日本酒に対する見方を変える契機にもなっています。
スパークリング日本酒のはしりとしては、1998年に発売された一ノ蔵のすず音があり、澪人気に引っ張られるように、こちらも需要を伸ばしています。この「すず音」は、炭酸ガス注入タイプの「澪」と異なり、瓶内二次発酵となっています。日本酒を瓶詰めしたあと発酵させるもので、シャンパンと同じつくりと言えます。
今、この瓶内二次発酵による日本酒造りが熱くなっています。

2017年はスパークリング日本酒元年

おすすめの日本酒2016年は、日本酒にとってエポックメイキングな年となりました。それまで焼酎に押されていた市場に変化が起き、純米大吟醸などの特定の酒が注目を浴びました。そのような中、11月に「awa酒協会」が結成されたのです。
「awa酒協会」は、2008年に画期的な独自製法で瓶内二次発酵のスパークリング日本酒をつくり出した永井酒造が中心となり、良質なスパークリング日本酒を世に送り出すために結成されました。今年4月にはお披露目会が行われ、その席で9製品にawa酒認定証を授与しました。
このように、本格的なスパークリング日本酒造りの基礎ができた2017年ですが、それに伴い、全国の酒造でスパークリング日本酒造りが熱くなっています。

コンテストでも注目されるスパークリング日本酒

国内外に知られる日本酒コンテストがいくつかありますが、スパークリング日本酒部門として独立して審査するコンテストも、このところ増えてきました。中でも有名なインターナショナル・ワイン・チャレンジでは、2014年にスパークリングの部を新設し、今年「出羽桜 とび六」にトロフィーを授与しました。今年から発泡清酒部門が新設されたサケ・コンペティション2017では、「南部美人 あわさけ スパークリング」が1位を獲得しています。いずれも瓶内二次発酵の商品で、「南部美人 あわさけ スパークリング」は11月から出荷される予定の新しい日本酒です。
このようにスパークリング日本酒への注目度が高まる中、市場での選別も促進されつつあります。

ホンモノを求める時代へと

当初は、日本酒からかけ離れた甘酸っぱさを求める傾向にあったスパークリング日本酒ですが、現在ではホンモノを求める人々が増えています。そのような人々にはやくから支持されていたのは「獺祭 発泡にごり酒 スパークリング50」。実は、ナンバーワンの人気を誇る日本酒「獺祭」の人気のかなりの部分を支えているのがこの酒で、繊細で骨太な米の旨みを存分に楽しめる酒です。そしてまた、この酒の開栓時の注意書きが面白い。英語と日本語で書かれたそれは、シャンパンを彷彿とさせるものです。
世界を戦場と定めた獺祭は、このように、スパークリング日本酒を戦略商品と位置付け、世界もそれに反応し始めました。

今はまだ、シャンパン市場は落ち着いています。乾杯はシャンパンでするのが世界の習わしであり、永久にその地位はゆるがない・・・と思われているかもしれませんが、我が日本酒が世界を変える日がくるかもしれません。

スパークリング日本酒の金字塔

MIZUBASHO PURE

日本酒ランキング2008年11月発売のMIZUBASHO PURE。永井酒造が長年の研究の結果生み出したこのスパークリング日本酒は、完全にシャンパンに照準を定めています。画期的な瓶内二次発酵技術は同業に解放され、業界での世界戦略を打ち出しました。乾杯酒がシャンパンからスパークリング日本酒に移り変わっていく時、この日本酒は、歴史を刻んだ酒として永遠に記憶されるでしょう。

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ワインの国の銘酒 七賢

甲府からはじまる七賢の旅

日本酒 七賢山梨は甲府の駅を降りると、酒蔵「七賢」という名の居酒屋がある。小綺麗な店内で郷土料理に舌鼓を打ち、店名と同じ銘の日本酒に目を向けた。メニュー表に、幾つもの種類の七賢が並んでいたので大将に聞くと、山梨銘醸の蔵元直営店とのこと。
ワインのイメージが強い山梨に、このような美味い酒があることを知った私は、翌日、レンタカーを借りて北杜市白州町に向かった。

豊かな水が育む七賢

白州と言えば、何と言ってもサントリーウィスキー。サントリーは、森が育む良質な水を求めてここに工場を建てた。七賢は、その土地で江戸時代から醸されてきた酒。水の良し悪しに左右される日本酒にあって、七賢は最高の環境で連綿と醸されてきた日本酒なのだと知る。

七賢の駐車場に車を止めると、森の香りに包まれた。しばらく歩くと、七賢蔵元直営のレストランがあり、裏のテラスでコーヒーを飲んだ。その味は何とも言えず印象的で、水が違えばコーヒーも変わるものだと唸ってしまった。日本酒 七賢
否が応にも高まる期待感を胸に表通りに出ると、甲州街道の宿場町として栄えた台ケ原宿。古い町並みが残る通りで、山梨銘醸はその中心に陣取る。かつての酒蔵・北原家は街道の本陣であり、諏訪高島藩、伊那高遠藩の御用商人だったとか。明治13年には明治天皇の行在所ともなったという。
ここは、名水に惚れ込んだ中屋伊兵衛が、信州高遠の酒造・北原家より分家して1750年に生まれた酒蔵。軒下の大きな杉玉を見上げながら暖簾をくぐると、酒蔵見学ができることもあり多くの観光客で賑わっている。敷地内の「弁財天の湧水」を少しいただくとほのかな甘みがある。これは、甲斐駒ヶ岳の湧水。はるか高所の雪解け水を、花崗岩が幾重にも濾過しながら、悠久の歳月をかけて磨き上げた水なのだという。

水だけではない七賢

山梨銘醸の工場では、見学だけでなく試飲もできる。天鵞絨の味を口に含むと、雪解け水のような滑らかさ。それが、心地よい苦みを呼び起こした後スパッときれる。
これは水だけではないな・・・

案の定、他にも並々ならぬ情熱が注がれている。農業法人まで設立して、米づくりから酒づくりまで、一貫した生産を行っていると、「社員さん」が説明してくれた。ここでは蔵人を廃止し、社員が、科学的な見地をも持ち合わせた上で日本酒造りを行っているのである。古人の知恵を受け継ぎながらも、より良いものを求めていく―――まさに賢人の酒「七賢」である。
やさしく説明してくれる社員さんに相槌を打ちながら、ここでしか販売していないという限定酒純米大吟醸「山濤」を握りしめていた。
日本酒 七賢

直営店限定の日本酒「七賢」。七賢とは、中国・魏の時代末期の竹林の七賢。

ワインに近い日本酒 七賢

ワイン生産の盛んな地だけあって、テロワールを意識した酒造りを行い、真の地酒を醸しています。七賢の酒は、水も米も正真正銘の山梨の酒です。豊かな水と森に育まれた酒が、不味いはずはありません。

七賢 大中屋 純米大吟醸

日本酒ランキング七賢は、知る人ぞ知るといった日本酒でした。この「大中屋」は、ダボス会議公式レセプション酒ですし、2016年4月刊のぴあMOOK「新しい日本酒。」では、実力派蔵の96本に選出されています。そして今年、SAKE COMPETITION 2017 Super Premium 部門で、何と1位に輝いたのです。みずみずしいフルーツのような甘みが最高です。

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小さくなっていく日本酒

小さくなった日本酒

近所の酒販店の棚をのぞくと、このところ日本酒が幅をきかせてきたなと、感慨ひとしお。一時は焼酎に席巻され小さくなっていたのに。
でも待てよ、日本酒、小さくなったと思いませんか???

一升瓶が消えていく・・・

おすすめの日本酒酒販店の真ん中にある冷蔵庫を見れば、日本酒の4合瓶がひしめいています。棚に無造作に一升瓶が置かれていたこれまでと比較すると、なんだか不思議な気がします。しかしこれは、「酔うための酒」から「味わうための酒」に、日本酒が変貌を遂げたことから生じた変化なのです。
日本酒には、本当は温度管理が必要です。特に生酒など、火入れしていない酒は牛乳などと一緒。常温で放っておくと、全く違うものに変化してしまいます。中には放置して熟成を楽しむなんて飲み方もありはしますが、それにしても温度変化の激しい場所に放置していたのでは、うまく熟成はしてくれないのです。
日本酒の冷蔵管理は常識。冷蔵したものを、できるだけ早く空けてしまうのが美味しい飲み方だと言えます。現在では、そのようなことをメーカー側がアピールできるまでに、日本酒は復権を果たしています。氷河期と呼ばれた時代でも、実直に研鑽を重ねてきた全国の酒蔵の努力が実ったのです。
今、蔵元は攻勢に出ようとしています。全国に知れ渡る名蔵「新政」などはすでに、一升瓶での出荷を取りやめたというのです。これには、消費者サイドに立った3つの利点があります。つまり、

1)一般家庭の冷蔵庫でも保管しやすいこと。
2)美味なうちに早く消費できること。
3)小さなサイズゆえにより多くの消費者に行きわたること。

さらに世界を見渡した場合、現在のメインプレーヤーであるワインへの接近という意味合いもあります。

ワインのように嗜む時代の向こう

日本酒の外飲みの場合、特殊な契約により、掲げられた単一銘柄の酒しか飲めないといったことがよくありました。しかし、現在では日本酒銘柄を数多くそろえることを売りにしている居酒屋も多く、それを楽しみにしている客も多くなりました。日本酒は、非常に味わい幅が広い酒なので、それぞれの違いを比較しながら楽しめるのです。それは、ワインの世界に似ています。
コストや保管の都合もあり、居酒屋の品ぞろえは今も一升瓶が中心ではあります。しかし、人気の新政が4合瓶しか出さないことや、スパークリング日本酒が人気となってきていることから、居酒屋においても日本酒の小型化は進んでいます。デザイン性に優れる4合瓶を並べ、店の高級感を演出している居酒屋なども現れてきました。
ワインのフルボトルは750㎖。アルコール度は、高くて14度くらい。日本酒は4合瓶で720㎖、平均的なアルコール度は16度。ボトル中のアルコール分は、若干日本酒の方が高いくらいで、それぞれ飲みきりサイズと言えるでしょう。だから、ワインのように4合瓶をキープしてしまう人もいます。そうやって、美味しい酒を美味しい状態に自ら管理してしまおうとするお客さんたちが出てきたのです。
まあ、それはそれで日本酒に対する認識が変わってきた・・・日本酒もワインのように嗜む時代がやってきた、ということで、喜ばしいことです。でも今、日本酒はワインを超えていこうとしています。日本独自の新たな提供の仕方を、提供する側も模索しているのです。
この社会は、分かち合い精神の根付いた社会です。小瓶からでもさらに徳利に注ぎ分けて、お互いに猪口を傾けるという交流の酒文化も古くからあります。世界中の文化がつながった今、日本酒を用いて、良き風習を世界にもたらすことができるかもしれません。

古くて時代を先取りする酒

新政

日本酒ランキング昭和5年(1930年)に新政酒造から採取された酵母は、現存する最古のきょうかい酵母で協会6号と呼ばれ、現代まで日本酒に大きな影響を与えています。新政では、その6号酵母をネーミングに取り入れたNO.6などを、秋田県産米を生酛純米造りにより6号酵母によって醸すという原則に従って醸造しています。さらに一升瓶から脱し、純米大吟醸酒に分類されるような酒であっても純米酒として販売するなど、常に問題提起をしながら業界の先端を走り続けています。

▶ 新政酒造の日本酒

恋心を刺激する日本酒

神のものなる風の森

日本酒風の森謎の神・阿治須岐高日子根(アジスキタカヒコネ)を祀ることで有名な高鴨神社を下ったところに、風の森がある。御神体とも言うべきこの土地の恵みを活かして、銘酒「風の森」が生まれる。

阿治須岐高日子根は、古事記において最高神・天照大御神とともに大御神(迦毛大御神)と記述があるものの、わずかな記載しかない。それは、天に背いた友人の葬式に出向いた折、死人と間違えられたため喪屋を切り倒して飛び去ったという話。
しかし、そのあと妹とされる女神が不思議な歌で謎解きをする。

天なるや 弟棚機の うながせる 玉の御統 御統に あな玉はや み谷ふたわたらす 阿遲志貴高日子根の神ぞ

日本酒風の森現代にいたっては、さっぱり意味の分からなくなってしまった歌で、かえって謎を増幅させる。ただ、その悲しみに満ちた調子の中に、古代の恋愛模様が見えてこないだろうか。
天から追われている最愛の夫を兄に仕立て、偽装された葬式を行うことで逃がした女神。さらに、「彼こそが天照大御神から地上の統率を請け負った阿遲志貴高日子根です」と、口惜しくもその身を明かし、夫の名誉を守ろうとした・・・

物語の舞台となった場所は今、豊かな田園地帯となっており、名酒「風の森」となる秋津穂が生る。これで醸された酒は、甘酸っぱさがいい。だが、弾けるように広がった甘さは、やがて余韻を残して消えていく。「風の森」は、恋する酒だと思う。

挑戦し続ける風の森

奈良県御所市にある油長酒造は、独自の笊籬(いかき)採りで注目を浴びる酒蔵です。これは、搾取時の圧を最小限に抑えることで、吟醸香や旨味をのこす技術です。
さらに、実験的な酒造に力を入れていることでも知られる油長酒造からは、ALPHAシリーズのような全国の日本酒ファンを驚かせる酒が、次から次に生み出されています。油長酒造を全国区にしているブランドは、1998年に誕生した「風の森」です。風の森は、同スペックの日本酒と比較してコストパフォーマンスに優れるといった声もあり、大人気となっています。
そんな「風の森」には、純米無濾過生原酒で微炭酸といった特徴があります。ただ、開栓後数日経過し、微炭酸が消失した後でも爽やかな風味に旨みが増し、また違った味わいを楽しめるのも、風の森の特徴です。

風の森 秋津穂 純米大吟醸 しぼり華

日本酒ランキング風の森に使用される代表的な米が「秋津穂」。これは、通常では飯米として使用されるものですが、油長酒造の手にかかれば、驚きの日本酒へと変化します。「しぼり華」とは、あらばしりのように、搾りはじめに圧を抑えて自然に垂れてくる部分を瓶詰めしたもので、はなやかな味わいに特徴があります。サライ2016年2月号では、「殿堂入りの10本」に選出されました。

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